ゴー宣DOJO

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切通理作
2013.9.30 00:16

安易な成長神話の宮崎駿批判


 『AKB
48論』で「アイドル好きなやつはロリコンだ」「日本の男はロリコン」という言い方に対して、小林さんが反論しているのが興味深かったです。

 宮崎駿も、もう三十年前からずっと、ロリコンロリコンと言われ続けてきた<ロリコン呼ばわり三十年男>ですからね。

 

 しかし小林さんが「『ロリコン』という言葉は『マザコン』と同様、1970年代後半から80年代に急速に広まった定義のあやふやな流行語にすぎないのだ」と言い切っているのは強いなーと思いました。

 

 どうもオタクというのは、僕も含めて自虐的なところがあって、「こういうものを好きでいる自分はいけないんじゃないか」と、誰かに言われる前から、自分でそう思っているところがあるんです。

 

 しかもそれが内省に留まらず、作者に罪を転換し、自分と一緒に断罪しようというところすらあります。

 こんなに少女が魅力的に映るアニメを作るやつはロリコンに違いない。日本の男の弱いところが表れているんだ。そこに無自覚な宮崎駿を批判することで、俺は成長するんだ、大人になるんだ……。

 

 宮崎駿自身、少女の描き方において、次第にロリコン受けする部分に対して配慮し、描写に女性の意見を採り入れるようにもなっていった形跡があります。

 

 しかしそれでも溢れだしてしまう少女への愛や情熱を、これまた注意深く読み取り、あげつらい、指弾する。インテリ層の宮崎駿批判には、そのようなコンプレックスが底流にあるのだと思います。

 

 『風立ちぬ』への批判にもそのようなものがある。病気の、「弱い」女を配置することで成り立つ男の「無自覚」な「マッチョイズム」こそを批判しなければならない……とかなんとか。

 

 「主人公が成長するという<階段を上る>要素が見られない。だから『風立ちぬ』はダメだ」などという批判もそれと同質なものでしょう。

 

 安易な成長神話に毒されない表現を模索してきた宮崎作品のこれまでの営為を見ないで、そんなことを言っている評が新聞に載るなら「俺に書かせろ!」と思ってしまいます(と、胸をいからせてみましたが、これも「理作氏はもっと宮崎駿作品の権威のような顔をして、堂々と主張してほしいね」と小林さんに言われて、ちょっと気が大きくなっただけです。スミマセン)。 

 

 そんなに大人に成長した者の姿を見たいのなら、たとえばAKBの代わりに、加齢臭ふりまくそこらのオッサンを、ステージに立たせればいいのです。

 

 さぞかし人々に眼福をもたらす……わけないだろうがボケ!と言いたくなります。

 

 成長や変化というものを、単線的にしか考えられない硬直した脳をほぐしてくれるのが、たとえば宮崎作品の大きな魅力のひとつではないかと。

 

 今度のゴー宣道場でも、硬直した男女論を乗り越えるような視点をも、ぜひ盛り込んで話が出来たらと思います。



第38回ゴー宣道場
「『風立ちぬ』から現代を考える」

平成25年10月13日(日)午後1時 から
『人事労務会館』 にて開催します。

「人事労務会館」
(住所:東京都品川区大崎2-4-3 )は、
JR山手線・埼京線・湘南新宿ライン・りんかい線
『大崎駅』 の 北改札口 を出て左へ、
「西口」 側の左階段を降りて、徒歩3分です。

毎回、会場の場所が分からず迷われる方が、多くいらっしゃいます。

人事労務会館のHPにて、場所をよくご確認の上、ご来場下さい絵文字:重要
(HP掲載の、駅から会場までの地図を印刷し、持参されることをオススメします )

詳しくは、 “ こちら ” でどうぞ。

HP上の申し込みフォームからも申し込み可能です絵文字:重要絵文字:パソコン

上 ↑ のHPメニュー「道場参加申し込み」もしくは下 ↓ の申し込みフォームバナー(画像)
クリックして、申し込みページにお進み下さい絵文字:よろしくお願いします
入力必須項目にご記入の上、お申し込み下さい絵文字:重要絵文字:メール

お申し込み後、記入されたメールアドレス宛に「申し込み確認メール」が届きますので、
ご記入内容に間違いがないか、よくご確認下さい。

申し込み〆切後、当選された方にのみ「当選メール」を送らせて頂きます。
当選された方は、道場当日、
その「当選メール」をプリントアウトの上、会場までご持参下さい。

 道場参加申し込みフォーム

引き続き、往復ハガキでの応募も受付けております絵文字:重要絵文字:記念日


入場料は、お一人1000円です。

参加ご希望の方は、

往復はがき に、『第38回参加希望』 と明記、

さらに、


1. 
氏名(同伴者がいる場合はその方の氏名と続柄・関係など)

2. 住所

3. 電話番号
4. 年齢

5. 
職業(学生の方は学校名)
6. 
募集を知った媒体
7. 
応募の理由と道場への期待

返信はがきの宛名には、ご自分の氏名・住所をご記入の上、

152-8799

東京都目黒区目黒本町1-15-16 目黒郵便局・局留め

『ゴー宣道場』代表・小林よしのり、担当・岸端


まで、お送り下さい。

応募〆切平成25年10/2(水)必着です。


当選された方にのみ
当選通知を送らせて頂きます絵文字:記念日
(往復ハガキで応募された方は返信ハガキで、ネットから応募された方は
 当選メールでの通知となります。)

当選通知の送付は、応募〆切後になりますので、しばらくお待ち下さい絵文字:よろしくお願いします

皆様からの多数のご応募、お待ちしております絵文字:重要絵文字:晴れ

 

切通理作

昭和39年、東京都生まれ。和光大学卒業。文化批評、エッセイを主に手がける。
『宮崎駿の<世界>』(ちくま新書)で第24回サントリー学芸賞受賞。著書に『サンタ服を着た女の子ーときめきクリスマス論』(白水社)、『失恋論』(角川学芸出版)、『山田洋次の<世界>』(ちくま新著)、『ポップカルチャー 若者の世紀』(廣済堂出版)、『特撮黙示録』(太田出版)、『ある朝、セカイは死んでいた』(文藝春秋)、『地球はウルトラマンの星』(ソニー・マガジンズ)、『お前がセカイを殺したいなら』(フィルムアート社)、『怪獣使いと少年 ウルトラマンの作家たち』(宝島社)、『本多猪四郎 無冠の巨匠』『怪獣少年の〈復讐〉~70年代怪獣ブームの光と影』(洋泉社)など。

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